国際会議の成功は「会場選び」で決まると言っても過言ではありません。特に海外から多くのゲストを迎え入れる国際会議では、会場が日本の顔、そして主催団体の顔となります。
しかし、いざ会場を探し始めると、「何を基準に選べばいいのか」「どんな施設があるのか」「国際的な要件を満たせるのか」など、多くの疑問や不安に直面するのではないでしょうか。
この記事では、国際会議の企画や会場手配を任されたご担当者様に向けて、会場選びの基本的な考え方から、具体的な選定ステップ、そして失敗しないための重要なチェックポイントまでを網羅的に解説します。
最後までお読みいただければ、自らが主催する国際会議に最適な会場を見つけ出し、世界中からの参加者全員の満足度を高めるための具体的な道筋が見えるはずです。
ぜひ、最高の国際会議を実現するための第一歩としてご活用ください。
国際会議とは?
まず、「国際会議(International Conference / Convention)」とは何か、その定義から確認しておきましょう。
国際会議とは、特定のテーマについて情報共有や意見交換、議論を行うため、国境を越えて参加者が集う公式な会議体を指します。学術的な発表会から、政府間会合、国際団体の年次総会、グローバル企業の戦略会議まで、その目的や規模は多岐にわたります。
国内の会議とは異なり、複数の言語が飛び交い、多様な文化背景を持つ人々が一堂に会するのが最大の特徴です。
そして、こうした国際会議は、より大きなビジネスイベントの枠組みである「MICE(マイス)」の重要な構成要素の一つです。
MICE(マイス)とは?
MICEとは、以下の4つのビジネスイベントの頭文字を組み合わせた造語です。
- Meeting:企業の研修や会議など
- Incentive Travel:企業の報奨・研修旅行
- Convention:国際会議や学術会議など
- Exhibition(またはEvent):展示会や見本市、イベント
MICEは、世界中から多くの人が集まり、開催地域に大きな経済効果や国際的なビジネス機会をもたらすことから、国や自治体も積極的に誘致を進めています。
国際会議を企画するということは、このMICEの中核を担う、国際交流や経済発展にも寄与する極めて意義深い活動なのです。
MICE(マイス)とは?意味や具体例、会場まで完全解説
国際会議の会場選定が特に重要な理由
会場は単なる「場所」ではありません。国際会議の成否を大きく左右する戦略的な要素であり、その重要性は以下の3つが挙げられます。
参加者の満足度を左右する「快適性」
海外からの参加者の多くは、長時間のフライトと時差による大きな疲労を抱えて到着します。そのため、国際空港からスムーズにアクセスでき、安全・安心を感じられる立地は、会場選定における絶対条件です。
長旅の疲れを癒せる快適な施設環境や、ストレスフリーな高速通信環境は、参加者が万全の状態で会議に臨むための基盤となります。これらへの配慮が欠けることは、会議本体だけでなく、ホスト国や都市のホスピタリティそのものへの評価を下げかねません。
会場への道のりは、参加者がその国で受ける「最初の体験」であり、第一印象を決定づけるのです。
会議の成果を最大化する「機能性」
国際会議の真価は、言語や文化の壁を越えた活発な議論と、そこから生まれる新たな知見やネットワークにあります。
同時通訳ブースや最新の音響・映像設備は、円滑な議論の生命線です。さらに現代の国際会議では、多様な参加者を受け入れるインクルーシビティ(包摂性)が強く求められます。ハラルやベジタリアン、アレルギーなど多様な食文化へのきめ細やかな対応、礼拝室(プレイヤールーム)の設置、完全なバリアフリー設計などは、すべての参加者が尊重されていると感じるために不可欠です。
また、政府要人(VIP)が参加する場合には、警備計画の立てやすさといったセキュリティ面での高度な機能性も会場に求められます。
世界への発信力となる「ブランド価値」
会場は、ホスト国・都市、そして主催団体のブランドイメージを世界へ発信する強力なメディアです。
歴史と伝統を感じさせる会場は「信頼性」を、最新鋭のコンベンションセンターは「先進性」を無言のうちに伝えます。しかし、それ以上に重要なのが、その場所でしか得られないユニークな体験価値の提供です。
会議の合間に日本らしい文化や、豊かな自然に触れられるロケーションは、参加者の創造性を刺激し、記憶に深く刻まれます。会議の内容が優れていることはもちろん、付随する体験が感動的であったかどうかが、会議全体の価値を飛躍的に高めるのです。
このように、会場選びは「快適性」「機能性」「ブランド価値」という3つの側面から、国際会議全体の質、成果、そして世界中からの参加者の満足度を決定づける、極めて重要な意思決定なのです。
国際会議の会場選び成功への7つのステップ
では、具体的にどのような手順で会場を選べばよいのでしょうか。ここでは、体系的かつ効率的に最適な会場を見つけるための7つのステップをご紹介します。
【ステップ1】国際会議の目的・概要を明確にする
全ての土台となる最も重要なステップです。以下の項目を具体的に言語化しましょう。これらが明確になることで、必要な会場の規模や機能、求められるサービスレベルが見えてきます。
開催目的
何を達成したいのか?ゴールは何か?
例:最新研究の成果発表、国際標準の策定、国際協力の促進など
ターゲット層
誰に参加してほしいのか?(国籍、専門分野など)
例:各国からの研究者、政府関係者、グローバル企業の役員など
主要コンテンツ
どんなプログラムを予定しているか?
例:基調講演、パネルディスカッション、ポスターセッション、分科会、レセプションなど
使用言語
公式言語は何か?同時通訳は必要か?
【ステップ2】開催形式を決定する(リアル・オンライン・ハイブリッド)
コロナ禍を経て、開催形式の選択肢はリアル・オンライン・ハイブリッドと多様化しました。特に国際会議では、時差や移動コストの問題を解決できるハイブリッド開催が有効な選択肢となります。どの形式で開催するかを決めましょう。
■リアル開催
参加者が一堂に会す伝統的な形式。ネットワーキングや一体感の醸成に最も優れる。
■オンライン開催
場所を問わず参加できる。コストを抑え、地理的制約をなくせる。
■ハイブリッド開催
リアルとオンラインを組み合わせた形式。参加機会を最大化できるが、高品質な配信設備や言語対応を含めた複雑な運営体制が求められる。
【ステップ3】参加予定人数と予算を具体的に策定する
次に、参加人数や予算など具体的な数字を固めていきます。
まずは参加人数です。最大何人を見込むのか、国・地域別の内訳はどうかを想定し、会場の収容人数(キャパシティ)を決定します。消防法遵守のため、少し余裕を持たせたキャパシティの会場を選ぶのが一般的です。
次に予算を決めます。会場費だけでなく、同時通訳関連費、機材費、人件費、飲食費(宗教上の禁忌等にも配慮)、警備費など、総額でどれくらいの費用をかけられるのかを算出します。為替変動リスクも考慮に入れた、現実的な金額設定が肝心です。
【ステップ4】エリア・立地を選定する
海外からの参加者の利便性を最優先に考え、開催エリアを絞り込みます。「国際空港からのアクセス」「最寄り駅からの距離」「宿泊施設の充実度」の3つが最重要項目です。
国際空港からのアクセス
空港から乗り換えが少なく、分かりやすいルートでアクセスできるターミナル駅周辺が最有力候補です。リムジンバスの有無も確認しましょう。
最寄り駅からの距離
駅から徒歩圏内(5〜10分程度)が理想です。遠い場合はシャトルバスの手配も検討します。
周辺環境
様々なランクの宿泊施設が十分に確保できるか、レセプション後に利用できる飲食店があるか、治安は良いか、なども重要な選定要素です。
【ステップ5】必要な設備・サービスを洗い出す
ステップ1〜3で明確にした概要に基づき、必須の設備やサービスをリストアップします。下記は国際会議で特に重要となる項目です。
| 基本設備 | プロジェクター、スクリーン、マイク、演台など |
| 国際会議特有の設備 | ・同時通訳ブース: 必要な言語数に対応できるか ・多言語対応サイネージ: 会場案内やプログラム表示 |
| 通信環境 | 高速で安定したWi-Fiは必須。特にハイブリッド開催では最重要項目。 |
| 控室・クローク | VIP・登壇者用の控室や、参加者の荷物を預かるクロークの有無 |
| 飲食・ケータリング | ハラル、ベジタリアン、アレルギーなど多様な食文化・習慣への対応が可能か |
| セキュリティ体制 | VIP警護や会場全体の警備計画に対応できるか |
| サポート体制 | 機材や通訳システムに精通した専門スタッフ、多言語対応可能なスタッフが常駐しているか |
【ステップ6】会場候補をリストアップし、比較検討する
いよいよ会場探しです。各都市のコンベンションビューローからの情報提供や、専門サイト、過去の実績などを元に候補を複数リストアップします。リストアップした会場は、以下の項目で比較検討表を作成すると、客観的な判断がしやすくなります。
- 会場名
- 収容人数(メインホール、分科会室)
- 会場レンタル料
- 付帯設備利用料(通訳ブース等)
- キャンセルポリシー
- 国際空港からのアクセス
- 周辺宿泊施設のキャパシティ
- 空き状況
- 特記事項(国際会議実績、セキュリティレベル、多言語対応スタッフの有無など)
【ステップ7】現地を下見して最終決定する
候補が2〜3箇所に絞れたら、できる限り現地へ足を運び、自分の目で確認しましょう。Webサイトや資料だけではわからない、多くの重要な情報を得ることができます。
まず確認したいのは、空間が持つスケール感や格式です。メインホールはもちろん、分科会室やポスターセッションを行うスペースが十分か、全体の清潔感やブランドイメージに合っているかを確認します。
次に、海外からの参加者目線で「動線」を確認します。受付からメインホール、分科会室、トイレへの移動はスムーズか、言語表示がなくても直感的に理解できるか。実際に歩いてみることで、当日の混乱を未然に防ぎます。
さらに、同時通訳ブースの位置や機材の状態もチェックしましょう。そして何より、案内してくれる会場担当者の国際会議に対する理解度や提案力は、会議を成功に導くパートナーとして信頼できるかを見極める大きな判断材料となります。
このように、下見で得たリアルな情報と見積もり内容を総合的に吟味し、後悔のない最終決定を下しましょう。
押さえておきたい5つの重要ポイント
上記のステップに加え、特に注意して確認したい5つのポイントを解説します。これらを押さえることで、より質の高い会場選びが可能になります。
日本ブランドを体現する「会場の雰囲気」
会場のデザインや調度品、窓からの景色が、日本の魅力や開催都市の個性を伝えているかを確認しましょう。日本庭園が見える、伝統工芸が飾られているなど、「日本に来てよかった」と思わせる付加価値は大きなアドバンテージになります。
多様なプログラムに対応する「レイアウトの柔軟性」
メインホールだけでなく、複数の分科会、ポスターセッション、商談スペース、プレイヤールーム(礼拝室)など、多様なニーズに応えられる柔軟な施設構成かを確認しましょう。大きな部屋をパーテーションで区切れるか、大小様々な部屋が十分な数あるかが重要です。
参加者満足度を高める「食事の質と選択肢」
ランチやレセプションでの食事は、国際会議の満足度を大きく左右します。アレルギー、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラルなど、多様な食文化や宗教上の禁忌にきめ細かく対応できるかは必須条件です。可能であれば試食をおすすめします。
当日の安心を支える「テクニカルサポート体制」
当日の音響・照明・映像・そして何より同時通訳システムのトラブルは絶対に避けたい事態です。各分野の専門テクニカルスタッフが常駐し、設営から本番、撤収まで一貫してサポートしてくれる会場は非常に心強い存在です。
リスクを回避する「契約内容とキャンセルポリシー」の確認
契約前には、キャンセルポリシーを必ず確認しましょう。「いつから」「何パーセント」のキャンセル料が発生するのかを正確に把握しておくことが、万が一の事態に備える上で不可欠です。また、料金体系や追加料金が発生するケースなど、隅々まで確認し、不明点はすべて解消しておきましょう。
国際会議の会場手配・予約までの実践的な流れ
会場選定のステップと並行して進む、手配・予約の具体的な流れを時系列でご紹介します。
問い合わせ・空き状況の確認(1〜数年前)
国際会議は誘致段階から会場を検討することも珍しくありません。気になる会場が見つかったら、まずは電話やWebサイトから問い合わせ、希望日程の空き状況を確認します。この時、会議の概要を伝えるとその後の話がスムーズです。
仮予約と見積もりの依頼
空きがあれば、仮予約を入れられるか確認しましょう。仮予約期間は会場によりますが、この間に詳細な見積もりを依頼します。
現地の下見
前述の通り、仮予約期間中に必ず下見を行います。営業担当者と直接話し、細かな疑問点を解消する絶好の機会です。
本契約の締結
下見と見積もり内容に納得できたら、正式に契約を締結します。申込金の支払いをもって契約完了となるのが一般的です。
運営担当者との詳細打ち合わせ(3ヶ月〜1年前)
契約後は、会場の運営担当者と、当日の進行、レイアウト、機材、警備、ケータリング、多言語対応などの詳細を詰めていきます。複数回の打ち合わせを重ね、万全の準備を整えます。
国際会議当日
最終打ち合わせの内容に基づき、会議が実施されます。当日は会場スタッフと密に連携を取りながら、スムーズな運営を目指します。
海外ゲストをもてなすならリゾート型国際会議「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめ
もし、日本国内でこれまでの国際的な要件を高いレベルで満たし、かつ海外からの参加者に特別な体験を提供できる会場をお探しなら、「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめです。
シーガイアは、単なるコンベンション施設ではなく、国際会議から企業のインセンティブ旅行まで、あらゆるMICEのニーズに応える統合型リゾートです。
シーガイアが国際会議の開催地としておすすめの理由を3つ紹介します。
国際空港からのアクセスと圧倒的なキャパシティ
宮崎ブーゲンビリア空港から車で約30分とアクセスも良好。最大5,000名を収容できる「シーガイア コンベンションセンター」をはじめ、大小様々な30以上の会場を備え、あらゆる規模と目的の国際会議に柔軟に対応可能です。
最新の音響・照明・映像設備はもちろん、ハイブリッド開催のための配信環境も万全です。
オールインワン・リゾートならではの特別な体験価値
コンベンション会場、ホテル(フェニックス・シーガイア・オーシャン・タワーなど)、多彩なレストラン、温泉、ゴルフコース、スパといった全ての施設がリゾート内に集約。
参加者は移動のストレスなく、会議の合間や前後にリフレッシュできます。太平洋を望む雄大なロケーションと日本神話の舞台でもある宮崎の文化がもたらす非日常感は、海外からの参加者に忘れられない日本の思い出を提供し、特別な一体感を醸成します。
多言語対応と経験豊富な専門チームによるワンストップサポート
国際会議の経験豊富な専門チームが、会場選定からプランニング、当日の運営までをワンストップでサポートします。食の宝庫・宮崎の豊かな食材を活かし、ハラル認証の食事にも対応可能な質の高いケータリングや、日本文化を体験できる独自のアクティビティプログラムの提案まで、主催者のあらゆる要望に応え、国際会議の成功を力強くバックアップします。
日常の喧騒から離れた特別な環境で行う「リゾートMICE」は、海外からの参加者の記憶に深く刻まれる、ユニークな体験価値を提供します。
政府間会合から国際的な学術会議まで、専任のスタッフがご要望に合わせた最適なプランをご提案します。企画の初期段階でも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。