コンベンションの成功は「会場選び」で決まると言っても過言ではありません。
学術団体の年次大会や業界団体の全国大会、展示会を伴う総合的なイベントなど、多様な要素を内包するコンベンションは、数百〜数千人規模の参加者が集うことも多く、その影響力は大きなものがあります。
いざ会場を探し始めると、
「展示と講演を両立できる会場はあるのか」
「参加者の動線や宿泊施設は十分か」
「ボランティアや運営人員のバックヤードは十分か」
など、検討事項の多さに戸惑うのではないでしょうか。
本記事では、コンベンションの企画・会場手配を任されたご担当者向けに、会場選びの考え方から具体的な選定ステップ、失敗を防ぐチェックポイント、手配〜予約の実務フローまでを網羅的に解説します。
コンベンションとは?
「コンベンション(Convention)」は、国内外の関係者が一定のテーマ・目的をもって集まり、学術発表・討議・展示・交流を包括的に行う大規模集会を指します。
政府機関・学会・業界団体・民間企業などが主催し、基調講演・分科会・展示併催・懇親会・出展ブースなど、多様な要素を統合した構成をとるのが特徴です。
コンベンションは、より大きなビジネスイベントの枠組みである MICE(Meeting / Incentive Travel / Convention / Exhibition) の重要要素です。
コンベンションとは?意味や具体例、開催方法など徹底解説
MICE(マイス)とは?
MICEとは、以下の4つのビジネスイベントの頭文字を組み合わせた造語です。
- Meeting:企業の研修や会議など
- Incentive Travel:企業の報奨・研修旅行
- Convention:国際会議や学術会議など
- Exhibition(またはEvent):展示会や見本市、イベント
MICEは、多くの人が集まり、地域に大きな経済効果やビジネス機会をもたらすことから、国や自治体も積極的に誘致を進めています。
MICE(マイス)とは?意味や具体例、会場まで完全解説
コンベンション会場の選定が重要な理由
会場は単なる「場所」ではありません。コンベンションの成否を大きく左右する戦略的な要素であり、その重要性は以下の3つに集約されます。
参加者体験の質を左右する「会場の快適性」
コンベンションは数百〜数千人規模の参加者が長時間にわたって滞在するイベントです。アクセスのしやすさや館内の導線設計、休憩や飲食の環境、快適な空調や高速通信などは、参加者の集中力や満足度に直結します。
さらに、基調講演会場・分科会室・展示スペースを行き来する際に混雑や迷いが生じないかどうかは、イベント全体の印象を大きく左右します。参加者が快適に過ごせる環境を整えることが、成功の第一歩となります。
イベントの成果を最大化する「会場の機能性」
コンベンションは多様なプログラムを同時並行で行うケースが多く、会場には柔軟な機能性が求められます。講演や分科会に必要な音響・映像設備はもちろん、展示ブースの設営やポスター発表のスペース、スポンサーの露出に配慮した設計など、目的に応じた機能を備えているかが成果を大きく左右します。
また、同時通訳やハイブリッド配信への対応、バリアフリーや多文化への配慮など、多様な参加者に応えられる機能も不可欠です。
主催者や都市の価値を映す「ブランド力」
会場の雰囲気や規模、立地は、主催団体のブランドイメージや開催都市の価値を象徴する存在になります。歴史あるホールは「伝統と信頼」を、先進的なコンベンションセンターは「革新と発展」を印象づけます。
さらに、その土地ならではの文化体験や自然に触れられる環境は、参加者の記憶に残る特別な価値となり、イベント全体の評価を高めます。会場は単なる背景ではなく、コンベンションのメッセージを強く発信する舞台なのです。
このように、会場選びは「快適性」「機能性」「ブランド力」という三つの側面から、コンベンションの質と成果、そして参加者の満足度を決定づける極めて重要な意思決定となります。
失敗しない!コンベンション会場の選び方7つのステップ
では、具体的にどのような手順でコンベンション会場を選べばよいのでしょうか。ここでは、体系的かつ効率的に最適な会場を見つけるための7つのステップをご紹介します。
【ステップ1】コンベンションの目的・概要を明確にする
すべての土台となる最も重要なステップです。以下の項目を具体的に整理しておきましょう。これらが明確になれば、必要な会場規模や設備、求められるサービス水準が見えてきます。
開催目的
何を達成したいのか?ゴールはなにか?
例:学術的知見の共有、業界全体の情報発信、スポンサーシップ強化など
ターゲット層
誰に参加してほしいのか?
例:会員、研究者、業界関係者、海外からのゲストなど
主要コンテンツ
どんなプログラムを予定しているか?
例:基調講演、分科会、ポスター発表、展示会、懇親会など
開催期間
1日完結か、数日間にわたるか
【ステップ2】開催形式を決定する(リアル・オンライン・ハイブリッド)
次に開催形式を決めます。コンベンションはリアル・オンライン・ハイブリッドと形式が多様化しています。どの形式を選ぶかによって、必要となる設備や運営体制が大きく異なります。
■リアル開催
参加者同士の交流や展示の体験価値を最大化できる
■オンライン開催
移動負担がなく、遠隔からの参加を容易にする
■ハイブリッド開催
参加機会を最大化できるが、配信設備や専門スタッフを含めた複雑な運営体制が必要
このように、形式を決定することで、会場選定時に必要となる条件を明確化できます。
【ステップ3】参加予定人数と予算を具体的に策定する
次に、参加者規模と予算を固めます。
参加人数
最大で何人を見込むのか?ピーク時の同時収容人数はどれくらいか?
例:基調講演 1,000名、分科会 各200名、展示来場者 合計3,000名
会場キャパシティ
会場全体で必要となる広さや部屋数はどのくらいか?消防法や安全基準を満たせるか?
例:メインホール収容 1,500名、分科会室 10室、展示スペース 2,000㎡、控室 5室
予算
会場費だけでなく、設営・配信・人件費・飲食・警備など、総合的にいくらを確保できるか?
例:総予算 2,000万円(内訳:会場費 800万円、展示設営 500万円、配信関連 300万円、ケータリング 200万円、警備・人件費 200万円)
現実的な数字を設定することで、選択肢を効率的に絞り込むことができます。
【ステップ4】エリア・立地を選定する
参加者の利便性を最優先に、開催エリアを絞り込みます。
アクセス
主要な交通機関からのアクセスは良好か?空港や新幹線から直通手段はあるか?
例:国際空港から車で30分以内、主要駅から徒歩10分、シャトルバス運行あり
宿泊施設
周辺で多様な価格帯の宿泊施設が確保できるか?大規模需要に対応できるか?
例:徒歩圏内にビジネスホテル〜高級ホテルまで1,000室以上
周辺環境
飲食・観光・安全性など参加者が安心して滞在できる環境があるか?
例:会場近くに懇親会可能なレストラン街がある、治安が良好
【ステップ5】必要な設備・サービスを洗い出す
コンベンションの目的に応じて必須の設備やサポートを確認します。
基本設備
スクリーン、マイク、プロジェクターなど基本機材は整っているか?
例:メインホールに大型スクリーン2面、最新音響システム完備
コンベンション特有の設備
展示やポスター発表、同時通訳、多言語案内に対応できるか?
例:展示スペース 2,000㎡、ポスター掲示用パネル500枚、同時通訳ブース4室、多言語サイネージ設置
通信環境
大人数が同時利用しても安定したネット環境か?
例:最大3,000台同時接続可能な専用Wi-Fi回線
付帯施設
参加者・登壇者・運営スタッフに必要なバックヤードが揃っているか?
例:VIP控室2室、クローク2ヶ所、救護室、祈祷室
サポート体制
専門スタッフが常駐し、トラブル対応が可能か?
例:多言語対応可能なスタッフ、映像・音響専任チーム
【ステップ6】会場候補をリストアップし、比較検討する
いよいよ会場探しです。インターネット検索や専門の紹介サイト、過去の実績などを元に、候補となる会場を複数リストアップします。リストアップした会場は、以下の項目で比較検討表を作成すると、客観的な判断がしやすくなります。
- 会場名
- 収容人数
- 会場レンタル料
- 付帯設備利用料
- キャンセルポリシー
- アクセス
- 空き状況
- 特記事項(ハイブリッド対応の可否など)
【ステップ7】現地を下見して最終決定する
候補地を絞り込んだら、できる限り現地を確認し、資料だけではわからない点を見極めます。
スケール感・雰囲気
実際の広さや雰囲気は期待に沿っているか?
例:写真以上に天井が高く開放感がある、展示エリアも十分な余裕
参加者動線
受付から本会場、分科会室、展示会場への移動はスムーズか?
例:エスカレーター配置がわかりやすく、混雑時も回避可能
設備の状態
音響・映像機材、通訳ブース、Wi-Fi環境は良好か?
例:最新の配信設備が導入済み、Wi-Fi実測で安定稼働
スタッフの対応力
担当者は提案力や運営経験を持っているか?
例:展示導線やスポンサー露出の工夫について具体的提案あり
押さえておきたい5つの重要ポイント
上記のステップに加えて、特に注意して確認したい5つのポイントを解説します。これらを押さえることで、より質の高いコンベンション会場選びが可能になります。
1. 大規模集会にふさわしい「会場の雰囲気」
会場のデザインや雰囲気は、主催団体やイベント全体のブランドイメージを映す鏡です。格式あるホールは「信頼と伝統」を、最新のコンベンションセンターは「革新と先進性」を印象づけます。
さらに、その地域ならではの文化や自然を感じられるロケーションは、参加者に特別な体験を与え、イベントの価値を高めます。
2. 多様なプログラムに対応できる「レイアウトの柔軟性」
コンベンションは基調講演・分科会・展示・ポスター発表など、複数のプログラムが並行して行われます。そのため、大ホールと小会場を柔軟に組み合わせられるか、展示スペースとセッション会場を効率的に行き来できるかが重要です。
レイアウトの自由度が高い会場は、プログラム運営の可能性を大きく広げます。
3. 参加者満足度を高める「食事の質と多様性」
ランチや懇親会などで提供される食事は、参加者の印象に強く残ります。ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル、アレルギー対応など、多様な食文化に対応できるかを必ず確認しましょう。
さらに、地域の特色を活かした料理や、見た目にも華やかなメニューは、参加者に「来てよかった」と感じさせる要素になります。
4. 当日の安心を支える「テクニカルサポート体制」
大規模イベントでは、音響・映像・照明、同時通訳、配信設備など、多様な機材が稼働します。当日にトラブルが発生すると進行全体に大きな影響を及ぼすため、専門スタッフが常駐して設営から撤収まで一貫してサポートしてくれる体制が欠かせません。
特にハイブリッド開催では、配信専門のスタッフや安定した回線確保が成功の鍵となります。
5. 想定外に備える「契約内容とキャンセルポリシー」
契約前に必ず、料金体系やキャンセルポリシーを確認しましょう。いつから何%のキャンセル料が発生するのか、付帯設備の利用料や追加料金の発生条件はどうか、不明点はすべてクリアにしておく必要があります。
また、大規模コンベンションでは、設営・撤去の時間制限や深夜作業の可否など、運営に直結する契約条件も重要なチェックポイントです。
【九州・宮崎】リゾート型コンベンションなら「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめ
もし、九州エリアで大規模なコンベンションの開催を検討しているなら、「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめです。
シーガイアでは、会議・展示・懇親会までを一体的に運営できる環境が整っており、参加者にも主催者にもメリットがたくさんあります。
圧倒的なキャパシティと多彩な会場
最大5,000名を収容できる「シーガイアコンベンションセンター」をはじめ、大小様々な会場を備えています。基調講演から分科会、ポスター発表、展示会まで、あらゆるプログラムに柔軟に対応可能です。音響・照明・映像設備も整い、ハイブリッド開催に必要な配信環境も万全です。
オールインワン・リゾートならではの利便性と特別体験
宿泊施設(フェニックス・シーガイア・オーシャン・タワーなど)、多彩なレストラン、温泉、スパ、ゴルフコースがすべてリゾート内に揃っているため、参加者は移動のストレスなく滞在を楽しめます。
太平洋を望む雄大な景色と宮崎ならではの自然・文化に触れる体験は、参加者の記憶に深く残り、イベント全体の価値を高めます。
専門チームによるワンストップサポート
シーガイアでは、コンベンションの運営経験豊富な専門チームが、企画段階から当日の運営までをトータルで支援します。展示ブースの設営やスポンサー対応、多言語ケータリング、文化体験プログラムの提案など、主催者のあらゆるニーズに対応可能です。
大規模イベントに特有の課題も安心して任せられる体制が整っています。
非日常のリゾート空間で行うコンベンションは、参加者にとって忘れられない体験となり、次回以降の参加意欲や国際的な評価にもつながります。九州・宮崎での開催をご検討の際は、ぜひ「フェニックス・シーガイア・リゾート」にご相談ください。