カンファレンスの成功は「会場選び」で決まると言っても過言ではありません。しかし、いざ会場を探し始めると、「何を基準に選べばいいのか」「どんな施設があるのか」「手配の進め方がわからない」など、多くの疑問や不安に直面するのではないでしょうか。

この記事では、カンファレンスの企画や会場手配を任されたご担当者様に向けて、会場選びの基本的な考え方から、具体的な選定ステップ、そして失敗しないための重要なチェックポイントまでを網羅的に解説します。

最後までお読みいただければ、自社のカンファレンスに最適な会場を見つけ出し、参加者全員の満足度を高めるための具体的な道筋が見えるはずです。ぜひ、最高のカンファレンスを実現するための第一歩としてご活用ください。

カンファレンスとは?

まず、「カンファレンス(Conference)」とは何か、その定義から確認しておきましょう。

カンファレンスとは、特定のテーマについて情報共有や意見交換、議論を行うための公式な会議体を指します。学術的な発表会から、企業の戦略発表、新製品の紹介、業界の動向を探る大規模な会合まで、その目的や規模は多岐にわたります。単なる会議とは異なり、専門性が高く、多くの参加者が集うのが特徴です。

そして、こうしたカンファレンスは、より大きなビジネスイベントの枠組みである「MICE(マイス)」の重要な構成要素の一つです。

MICE(マイス)とは?

MICEとは、以下の4つのビジネスイベントの頭文字を組み合わせた造語です。

  • Meeting:企業の研修や会議など
  • Incentive Travel:企業の報奨・研修旅行
  • Conference / Convention:国際会議や学術会議など
  • Exhibition(またはEvent):展示会や見本市、イベント

MICEは、多くの人が集まり、地域に大きな経済効果やビジネス機会をもたらすことから、国や自治体も積極的に誘致を進めています。カンファレンスを企画するということは、このMICEの一翼を担う、社会的にも経済的にも意義のある活動なのです。

MICE(マイス)とは?意味や具体例、会場まで完全解説

カンファレンス会場の選定が重要な理由

会場は単なる「場所」ではありません。カンファレンスの成功を大きく左右する戦略的な要素であり、その重要性は以下の3つが挙げられます。

参加者の「快適性」が満足度の鍵を握る

会場へのアクセスのしやすさ、施設の快適性、設備の充実度は、参加者がイベントに集中できるかどうかを決めます。駅から遠い、空調が効きすぎている、Wi-Fiが繋がりにくいといった些細なストレスが、カンファレンス全体の印象を損ないかねません。

会場の「機能性」がイベントの成果を左右する

カンファレンスの目的は、情報共有やネットワーキング、新たなビジネスの創出など様々です。目的に合った雰囲気やレイアウト、最新の音響・映像設備が整っている会場は、登壇者のプレゼンテーション効果を高め、参加者同士の活発な交流を促し、イベントの成果を最大化します。

会場は主催者の「ブランド」を語るメッセージになる

会場の雰囲気や格式は、主催する企業や団体のブランドイメージそのものです。格式高いホテルは信頼性を、デザイン性の高いホールは革新性を、といったように、会場が持つイメージが参加者に与えるメッセージは絶大です。

このように、会場選びは参加者、主催者、そしてブランドのすべてにとって極めて重要な意思決定なのです。

失敗しない!カンファレンス会場の選び方7つのステップ

では、具体的にどのような手順で会場を選べばよいのでしょうか。ここでは、体系的かつ効率的に最適な会場を見つけるための7つのステップをご紹介します。

【ステップ1】カンファレンスの目的・概要を明確にする
【ステップ2】開催形式を決定する(リアル・オンライン・ハイブリッド)
【ステップ3】参加予定人数と予算を具体的に策定する
【ステップ4】エリア・立地を選定する
【ステップ5】必要な設備・サービスを洗い出す
【ステップ6】会場候補をリストアップし、比較検討する
【ステップ7】現地を下見して最終決定する

【ステップ1】カンファレンスの目的・概要を明確にする

全ての土台となる最も重要なステップです。以下の項目を具体的に言語化しましょう。これらが明確になることで、必要な会場の規模や雰囲気、設備が自ずと見えてきます。

開催目的

何を達成したいのか?ゴールはなにか?

例:新製品の認知拡大、業界でのリーダーシップ確立、社員のエンゲージメント向上など

ターゲット層

誰に参加してほしいのか?

例:既存顧客、潜在顧客、業界関係者、学生など

主要コンテンツ

どんなプログラムを予定しているか?

例:講演、パネルディスカッション、分科会、ワークショップ、懇親会など

【ステップ2】開催形式を決定する(リアル・オンライン・ハイブリッド)

コロナ禍を経て、開催形式の選択肢はリアル・オンライン・ハイブリッドと多様化しました。どの形式を選ぶかによって、必要な機材や会場の条件が大きく異なります。特にハイブリッド開催の場合は、高品質な配信環境が整っているか、専門スタッフが常駐しているかが重要な選定基準となります。

それぞれの開催形式について以下にまとめました。

リアル開催

参加者が一堂に会す伝統的な形式。一体感や熱気を醸成しやすい。

オンライン開催

場所を問わず参加できる。コストを抑えやすい。

ハイブリッド開催

リアルとオンラインを組み合わせた形式。参加機会を最大化できるが、配信設備や運営が複雑になる。

【ステップ3】参加予定人数と予算を具体的に策定する

次に、参加人数や予算など具体的な数字を固めていきます。

まずは参加人数です。最大何人を見込むのかを想定し、会場の収容人数(キャパシティ)を決定します。消防法などの観点から、収容人数は厳密に守る必要があります。少し余裕を持たせたキャパシティの会場を選ぶのが一般的です。

次に予算を決めていきます。会場費だけでなく、付帯設備費、人件費、飲食費、配信機材費など、総額でどれくらいの費用をかけられるのかを算出します。会場費が予算の大部分を占めるため、ここで現実的な金額を設定することが肝心です。

【ステップ4】エリア・立地を選定する

参加者の利便性を考慮し、開催エリアを絞り込みます。「主要駅からのアクセス」「最寄り駅からの距離」「周辺環境」の3つの項目がクリアできるエリアや立地の会場候補を選定しましょう。

主要駅からのアクセス

遠方からの参加者が多い場合は、新幹線の停車駅や空港からアクセスの良いターミナル駅周辺が有力候補になります。

最寄り駅からの距離

駅から徒歩圏内(5〜10分程度)が理想です。遠い場合はシャトルバスの手配なども検討しましょう。

周辺環境

宿泊施設や飲食店が充実しているか、カンファレンス前後に立ち寄れる場所があるかなども、参加者の満足度に関わる要素です。

【ステップ5】必要な設備・サービスを洗い出す

ステップ1〜3で明確にした概要に基づき、必須の設備やサービスをリストアップします。下記は一般的な項目になりますのでご参考にしてみてください。

基本設備プロジェクター、スクリーン、マイク、演台、ホワイトボードなど
音響・照明設備BGMや演出にこだわりたい場合に重要
通信環境高速で安定したWi-Fiは必須。特にハイブリッド開催では最重要項目。
控室・クローク登壇者用の控室や、参加者の荷物を預かるクロークの有無
飲食・ケータリング懇親会やコーヒーブレイクの手配が可能か
サポート体制機材トラブルに対応できる専門スタッフが常駐しているか

【ステップ6】会場候補をリストアップし、比較検討する

いよいよ会場探しです。インターネット検索や専門の紹介サイト、過去の実績などを元に、候補となる会場を複数リストアップします。リストアップした会場は、以下の項目で比較検討表を作成すると、客観的な判断がしやすくなります。

  • 会場名
  • 収容人数
  • 会場レンタル料
  • 付帯設備利用料
  • キャンセルポリシー
  • アクセス
  • 空き状況
  • 特記事項(ハイブリッド対応の可否など)

【ステップ7】現地を下見して最終決定する

候補が2〜3箇所に絞れたら、できる限り現地へ足を運び、自分の目で確認すると良いでしょう。Webサイトや資料だけではわからない、多くの重要な情報を得ることができます。

まず確認したいのは、空間が持つスケール感や雰囲気です。写真で見るよりも天井が低く圧迫感はないか、会場全体の清潔感は保たれているか、ブランドイメージに合っているかなど、参加者が一日を過ごす場所として快適かどうかを肌で感じ取ります。

次に、参加者の目線で「動線」を確認することも極めて重要です。受付からメインホール、休憩時間に利用するトイレ、分科会が開催される別室への移動はスムーズか、迷うことなくたどり着けるか。実際に歩いてみることで、当日の混乱や参加者のストレスを未然に防ぐヒントが見つかります。

さらに、プロジェクターや音響といった設備の状態や使いやすさもチェックしましょう。そして何より、案内してくれる会場担当者の対応力や提案力は、カンファレンスを成功に導くパートナーとして信頼できるかを見極める大きな判断材料となります。

このように、下見で得たリアルな情報と、すでに入手している見積もり内容を総合的に吟味し、後悔のない最終決定を下しましょう。

押さえておきたい5つの重要ポイント

上記のステップに加えて、特に注意して確認したい5つのポイントを解説します。これらを押さえることで、より質の高い会場選びが可能になります。

ブランドを体現する「会場の雰囲気」

会場のインテリアデザインや格式が、自社のブランドイメージやカンファレンスのテーマと合っているかを確認しましょう。例えば、先進的なテクノロジーに関するカンファレンスであれば、スタイリッシュで近代的なデザインの会場が適しています。

多様なプログラムに対応する「レイアウトの柔軟性」

メインホールだけでなく、小規模な分科会や商談スペースが必要になることも多いです。一つの大きな部屋をパーテーションで区切れるか、あるいは大小様々な部屋が複数用意されているかなど、プログラムに合わせた柔軟なレイアウトが可能かを確認しましょう。

参加者満足度を高める「食事の質と選択肢」

ランチや懇親会での食事は、参加者の満足度を大きく左右します。アレルギー対応やベジタリアンメニューなど、多様なニーズに応えられるか、また、提供される食事の質や見た目も重要です。可能であれば試食をおすすめします。

当日の安心を支える「テクニカルサポート体制」

当日の音響・照明・映像機材のトラブルは絶対に避けたい事態です。専門のテクニカルスタッフが常駐し、設営から本番、撤収まで一貫してサポートしてくれる会場は非常に心強い存在です。特にハイブリッド開催では、配信に関する専門知識を持ったスタッフがいることが絶対条件となります。

リスクを回避する「契約内容とキャンセルポリシー」の確認

契約前には、キャンセルポリシーを必ず確認しましょう。「いつから」「何パーセント」のキャンセル料が発生するのかを正確に把握しておくことが、万が一の事態に備える上で不可欠です。また、料金体系が明確か、追加料金が発生するケースはどんな場合かなど、隅々まで確認し、不明点はすべて解消しておきましょう。

カンファレンス会場の手配・予約までの実践的な流れ

会場選定のステップと並行して進む、手配・予約の具体的な流れを時系列でご紹介します。

問い合わせ・空き状況の確認(6ヶ月〜1年前)

気になる会場が見つかったら、まずは電話やWebサイトのフォームから問い合わせ、希望日程の空き状況を確認します。この時、カンファレンスの概要(目的、予定人数、希望形式など)を伝えると、その後の話がスムーズに進みます。

仮予約と見積もりの依頼

空きがあれば、仮予約を入れられるか確認しましょう。仮予約期間は会場によって異なりますが、1〜2週間程度が一般的です。この間に、詳細な見積もりを依頼します。

現地の下見

 前述の通り、仮予約期間中に必ず下見を行います。営業担当者と直接話し、細かな疑問点を解消する絶好の機会です。

本契約の締結

下見と見積もり内容に納得できたら、正式に契約を締結します。申込書への記入・捺印と、申込金の支払いをもって契約完了となるケースが一般的です。

運営担当者との詳細打ち合わせ(1〜3ヶ月前)

契約後は、会場の運営担当者(コーディネーターなど)と、当日の進行やレイアウト、機材、ケータリングなどの詳細を詰めていきます。複数回の打ち合わせが必要になることもあります。

カンファレンス当日

最終打ち合わせの内容に基づき、カンファレンスが実施されます。当日は会場スタッフと密に連携を取りながら、スムーズな運営を目指します。

【九州・宮崎】リゾート型MICEなら「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめ

もし、九州エリアでこれまでの条件を高いレベルで満たし、かつ参加者に特別な体験を提供できる会場をお探しなら、「フェニックス・シーガイア・リゾート」がおすすめです。

シーガイアは、単なるカンファレンス施設ではなく国際会議から企業のミーティング、インセンティブ旅行まで、あらゆるMICEのニーズに応える統合型リゾートです。

シーガイアがおすすめの理由を3つのポイントでご紹介します。

圧倒的なキャパシティと多彩な会場

最大5,000名を収容できる「シーガイアコンベンションセンター」をはじめ、大小様々な30以上の会場を備えています。

大規模な国際会議から、重役会議、分科会、展示会まで、あらゆる規模と目的のカンファレンスに柔軟に対応可能です。最新の音響・照明・映像設備はもちろん、ハイブリッド開催のための配信環境も万全です。

オールインワン・リゾートならではの利便性と非日常感

カンファレンス会場、宿泊施設(フェニックス・シーガイア・オーシャン・タワーなど)、多彩なレストラン、温泉、ゴルフコース、スパといった全ての施設がリゾート内に集約されています。

参加者は移動のストレスなく、会議の合間や前後にリフレッシュすることが可能です。太平洋を望む雄大なロケーションがもたらす非日常感は、参加者の創造性を刺激し、特別な一体感を醸成します。

経験豊富な専門チームによるワンストップサポート

MICEの経験豊富な専門チームが、会場選定からプランニング、当日の運営までをワンストップでサポートします。食事のメニュー開発から、独自のアクティビティプログラムの提案まで、主催者のあらゆる要望に応え、カンファレンスの成功を力強くバックアップします。

食の宝庫・宮崎の豊かな食材を活かした質の高いケータリングも、参加者の満足度を飛躍的に高める要素です。

日常の喧騒から離れた特別な環境で行う「リゾートMICE」は、参加者の記憶に深く刻まれるユニークな体験価値を提供します。

企業のチームビルディングから国際会議まで、専任のスタッフがご要望に合わせた最適なプランをご提案します。企画の初期段階でも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

執筆者画像

執筆者: フェニックス・シーガイア・リゾートMICE編集部

企業の会議・研修・表彰旅行などのMICE開催を支援する専門チーム。宮崎の魅力や最適な会場選びの情報を発信しています。